四日市工場では各種分析装置を用いて吸着剤の性能を評価しております。

マクベイン-ベーカーバランス(McBain Bakr Balance)

吸着剤の吸着能力評価用に10台以上のマクベイン-ベーカーバランスが設置されており、製品の残留水分(初期水分値)測定、吸着能力測定に利用されております。

動的吸着量測定装置

長さ1.5mのカラムにモレキュラーシーブを充填し、ガスを流して、入口と出口のガスを分析する事により、MTZと言われる「物質移動帯」の評価を行い、お客様の実使用に即した吸着量、吸着速度を測定しております。

水分測定装置

お客様の現場で、運転状態の解析を行うための水晶発振器を利用したガス中の水分濃度計です。0.1ppmv(露点-96℃)の低水分の測定が可能です。その他、高水分測定用の装置も常備しています。

高精度ガス吸着量測定装置(BELSORP)

容器に入れた吸着剤に各種ガスを導入して、その圧力変化から吸着量を測定する装置です。
ガス圧を連続的に変化させて吸着等温線を作成する事が可能です。
また、吸着-脱着を繰り返して物理吸着量/化学吸着量の算出や、吸着データを解析することで、比表面積等を算出することも出来ます。

炭素硫黄分析計(LECO)

モレキュラーシーブ(MS)をTSAと言われる加熱再生システムで使用すると、MSの表面にカーボン分が付着してコーキングを生じ、処理ガスとMSの接触を妨げ、結果として吸着性能の低下を引き起こす事があります。LECOはサンプル中に存在するカーボン(C)及びサルファー(S)が測定できる装置で、本装置を使用すればサンプル中に存在するカーボン量を測定し、このコーキングの程度を確認できます。
また、石油精製の硫黄回収で使用されるクラウス触媒の劣化に関連する残留硫黄量の測定も可能です。

昇温脱離分析装置(TPD:Temperature Programed Desorption)

昇温脱離分析装置(TPD)は、試料を加熱しながら試料から脱着するガスの種類をマススペクトル分析して、どの様な物質がどの温度域で脱着するかを連続的に測定出来る装置です。測定結果を基に、モレキュラーシーブの再生温度を決定し、吸着塔のデザインの検討に利用されています。

原子吸光分析装置(AAA:Atomic Absorption Analyzer)

ゼオライトには、イオン交換の能力もあります。
このイオン交換能は、福島原子力発電所の事故による汚染水処理中のCsやSr等の放射性物質の吸着除去にも利用されています。このイオン交換能力を測定するためには、各種カチオンの定量が必要ですが、原子吸光装置を利用すればゼオライトのイオン交換容量(CEC)が測定できます。

熱分析装置(DTA/TGA)

試料と標準物質を一定のプログラムで昇温し、両物質間の温度差と重量変化を同時に測定する装置で、重量変化、温度差変化より表面に付着した物質や吸着していた物質を推定したり、脱着エネルギーの推定に応用できます。

蛍光X線分析装置(XFS)

ゼオライトのシリカアルミナ比やイオン交換率は、吸着性能に大きく影響します。
XFS測定によりゼオライトを構成する元素の含有量やシリカアルミナ比、イオン交換率が確認可能です。また、使用前後のゼオライトを比較することで、性能劣化の要因等の情報が得られます。

粉末X線回折装置(XRD)

ゼオライトはタイプによりそれぞれに特有な結晶形態を持ち、XRDによりその種類を特定することができます。
また、吸着剤の加熱再生を繰り返すと、結晶性が低下し、吸着能力が低下する事がありますが、XRDにより結晶純度の低下を測定し、使用後の吸着剤の健全性を測定する事が出来ます。

走査電子顕微鏡(SEM/EDX)

走査電子顕微鏡は試料の表面形状を観察することが可能で、モレキュラーシーブの形状や粒度を確認するのに使用しております。併せてEDXで元素分析を行う事で、モレキュラーシーブビーズに金属を担持させた場合の分散状況を確認できます。