空気の主成分は、窒素(79%)と酸素(21%)です。また、微量成分として、水分、二酸化炭素、アルゴン、窒素酸化物などが含まれています。

空気から窒素や酸素、更にはアルゴンを分離して取り出すプロセスを「空気分離」と総称しています。工業レベルでの空気分離法は、大きく以下の2つに分けることができます。

深冷分離法
空気を極低温まで冷却、液化して、蒸留により各成分に分離します。
吸着分離法
空気中の各成分の吸着特性の差を利用して、各成分に分離します。

深冷分離法においては、空気をそのまま極低温まで冷却すると、水分の凍結、炭酸ガスの固化により装置の配管が閉塞し、運転が継続できなくなる恐れがあります。
このため、原料空気から水分や炭酸ガスを除去する前工程(APPU: Air Pre-Purification Unit)が必要となり、当社のモレキュラーシーブが多く使われています。
また、水分や炭酸ガスに加え空気中に極微量含まれる酸化窒素や炭化水素も、閉塞や安全上の問題を引き起こす恐れがあり、これらの除去機能を強化したモレキュラーシーブも開発されています。

吸着分離法は、1970年代初めから酸素発生装置として実用に供されるようになりました。
モレキュラーシーブは極性の強い分子・不飽和度の高い分子ほど強く吸着する特徴があります。酸素と窒素では三重結合を持つ窒素の方がより強く吸着されるため、空気をモレキュラーシーブ層に通すと窒素が吸着され、酸素濃度を90%以上(Max.96%)に高めることが可能です。
吸着分離法は深冷分離法に較べて装置が簡便で高圧ガス保安法の適用を受けないことから爆発的な勢いで普及し、モレキュラーシーブやプロセスの改良による性能の著しい向上とも相まって、電炉工場、ゴミ処理工場、下水処理場などを始めとした、広い工業分野で使われています。
また、近年では工業用だけでなく、肺疾患等の患者さんに病院や自宅で酸素を供給する医療用の小型酸素発生装置も広く普及しており、当社の吸着剤OXYSIVTMシリーズは装置の高性能化・高信頼化に貢献しています。