モレキュラーシーブ/活性アルミナは資源・エネルギーの分野では、主に以下の用途で使用されています。

・ 天然ガス・LPG等の乾燥・精製
・ 燃料電池用常温脱硫
・ バイオエタノール脱水

 天然ガス LPG等の乾燥・精製

地中深くから産する石油随伴ガス(Associated Gas)・天然ガス(Natural Gas)は、主成分メタンの他にエタン、プロパン、ブタン等を含み、エネルギー源として、また化学・石油化学の原料としても広く利用されています。

特に精製された天然ガスは火力発電所・自動車・都市ガス等の燃料として、燃焼した場合の二酸化炭素排出量が石油より少なく、地球温暖化防止の観点からも評価され、しかも可採埋蔵量も多いことから クリーンなエネルギーとして使用量が伸びています。

ただ日本国内で使用する為には天然ガスを産地で精製・液化し、極低温の液化天然ガス(LNG; Liquefied Natural Gas)として運んで来なければなりません。このための冷却・液化は巨大なLNGプラントで行われますが、冷却・液化の前処理プロセスの中で、凍結防止のための水分除去や二酸化炭素、硫黄化合物、さらには微量の水銀といった不純物の除去にモレキュラーシーブは重要な役目を果たしています。

当社はオーストラリア、カタール、サハリン等の大型LNGプラントやLPG回収プラントにモレキュラーシーブを納入し豊富な実績を有しています。また最近では、環境負荷や生産コストの低減が期待されるLNGの生産・貯蔵設備を備えた船等の洋上設備(FLNG;Floating Liquefied Natural Gas)での採用も進んでいます。

燃料電池用水素の常温脱硫

燃料電池(FC;Fuel Cell)は今や広く家庭・自動車・ビル等の身近な所に使われるようになりました。FCの燃料となる水素は、都市ガス、灯油、LPGの改質等により作られますが、改質触媒は原料中の不純物に敏感なため、原料中の不純物、特に硫黄化合物はあらかじめ原料前処理装置で除去する必要があります。

不純物除去には様々な方法がありますが、簡便で有効な方法が吸着法です。当社のモレキュラーシーブや活性アルミナは常温(室温)で硫黄化合物を吸着除去する常温脱硫剤のベース・マテリアルとして広く使用されています。

モレキュラーシーブ、活性アルミナの多孔質吸着剤を様々な金属等で修飾し、異なった物性の原料に適した常温脱硫剤の開発も行っています。

バイオエタノールの脱水

トウモロコシやサトウキビ等の作物を発酵させて得られるバイオエタノールを自動車用燃料のガソリンに混合して使うと、カーボンニュートラルの観点から、増え続ける二酸化炭素の排出量を抑えることになります。

ガソリンへの混合法にはバイオエタノールをガソリンにそのまま混合する方法と、バイオエタノールをイソブテンと化学反応させて作られるETBEとして混ぜる方法の2種類があります。

エタノールの濃度は99.9wt%以上が必要となりますが、水と自由に混合するエタノールから水分を除き無水エタノールを製造する脱水プロセス(共沸エタノールの脱水)にモレキュラーシーブが使用されています。

バイオエタノールの自動車用燃料用への利用は、アメリカ、ブラジル、タイなどでは盛んに行われており、モレキュラーシーブを使用した脱水プロセスを備えたバイオエタノールプラントが多く稼働しています。国内においても進展が期待されています。

また、バイオジェット燃料への利用も期待され、日本の航空会社によるバイオ燃料を用いたデモンストレーションフライトに、当社米国親会社であるUOP社が精製したバイオジェット燃料が採用されております。